2012年04月17日

眠れない夜が明ける。

眠れない夜が明ける。


 ごく稀に眠れない夜がある。そんなときは、無理してまで眠ろうとはしないで、本を読んだり映画のDVDを観たり、インターネットでうろついたりして時間を潰す。たいていは、その途中で眠気が戻ってくるのだけれど、そうでないときもある。高ぶっているせいだろう。編集という仕事の拠点を準備しているいまの段階が楽しいし不安もあるし。うまくいくのかどうかを気にしたとことで、それでうまくいくわけではないけれど。気になってしまうこと自体にくよくよするつもりもない。まあなんとかなるだろう、という傍観者の楽観ではなくて、自分にならできると思うんだよ、という自信家の楽観。それがあれば、うまくいくんじゃないかな、たぶん。

 駆け出しの編集者だった頃、当時の編集長が突然質問を浴びせた。「編集ってひとことで言うとどんな仕事だと思う」「本(雑誌)をディレクションすることだと思います」「惜しい、けれど違う。編集者がディレクションするのは人だ」そんなやりとりだったと思う。それで、当時は「編集長はまた格好良いこと言って…」と、真に受けることなく聞き流していた。けれど、それから随分経って、しかも雑誌の編集から離れて、まったく別の業種の経営者になったとき、その「人をディレクションする」という意味に気づき始めた。それが正解かどうかは別にして、人(他人)との関係性によってなにかをつくり上げることの難しさと面白さがみえてきた、というだけなのだけれど。

 ぼくが仕事場として設けつつある「西町編集室」には、古い棚、古い机、古い椅子、古い照明器具、古い本があって、そこに中年のぼくとそうすけ(犬)がいる。そのそうすけ(犬)も人間であればぼくと同じくらいの年頃だろう。そんな年月を経てきたことに、なにかしらの意味を見出そうとしているのがぼくで、それがこの「西町編集室」の仕事になるのだと思う。そして、ぼくは人(他人)との関わることによってなにかをつくり出す。それが「人をディレクションする」ことなのかどうか…。ここまで書いてみて気づいたのは、ぼくがディレクションするのか、されるのか、そのあたりすらまだ良く理解できていないなあ、という自分の甘さ。

 片付いたはずの編集室内を、昨日また改装と嘯いて散乱させたせいで、そうすけ(犬)は寝床を奪われてしまった。それでも、眠れなかったのはぼくだけで、そうすけ(犬)はいつもと違う場所でもぐっすりと眠っている。もう外は明るい。ゴミ出ししてそれで散歩へ行こう。そうすけ(犬)もそろそろ目覚める頃だからね。と書いたところで欠伸が…。


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Posted by sousuke at 05:37│Comments(0)
 
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