さんぽ道

　三年も前に買ったマイナーな雑誌をぺらぺらとしていたら、このコトバに出会った、それが「被承認症候群」。文字通り、承認されたい,認められたいという欲求に苛まれる症状のことらしい。まあ、たいていの、その辺の居るヒトビトの多くはそんなものだろうと思うから、それにわざわざ「症候群」をくっつけただけなんだし、誰かに自分の存在を認めてもらうことこそ、もしかすると生きる意味というか生存理由そのものともいえるのじゃないのか、というわけで。
　ヒトと同じ。ヒトと違う。その両方とも平穏に生き延びるには欠かせない要素である、なんてことは日々平穏を装って生きなければならないいわゆるごくノーマルなヒトビトにとっては、ほぼ反射的な行動パターンでもあるわけで。要は「他人の目」がどちらにしても気になっちゃうのよねー、というくらいなもので、それなのに「自分らしく」なんてことに拘ってるふりばかり。つまり、過剰には目立ちたくもないし、かといって埋没もしたくないという狡賢さ。それで、過剰に目立っていたり埋没したりしている誰かを目ざとくみつけては、蔑んだりもする。結局、誰かと比べることでしか、価値観を示せないってことなんだろうな。
　このところ、無駄とまでは思わなくても「生産性はまったくだなあ」ということばかりに傾倒してしまっているので、このいう大切なことを考える暇にも恵まれている、というわけである。

　「みんな」に対して何かを呼びかけることに、どんな意義があるのだろう。ぼくは、いつまでたってもそのことばかりは共感できない。自分でやるだけで良いでしょ、ほかのヒトビトも自分でやるはずなので。