2011年05月14日

その女の子。

その女の子。

 焼酎を生のレモンとソーダーで割る、それはよくある酎ハイとはまったく別の飲み物のようで、そんなその辺にはない酎ハイを数杯飲んで、それからウィスキーなども飲んだりしてから、そのあとで街をうろうろと歩いた。公衆便所の辺りから脇道に入るとある早朝まで店を開けている居酒屋では、たまたま隣に座ったダサいチンピラ風のシャチョー(自称)に奢られ、景気が良いのかどうかは分からないが「この店にある一番高い酒を奢ってやる」とか言われ、それで奢ってもらい、そのあと「俺が奢ってやってるのに、その態度か」と罵られ、それでもまあそれ以上の揉め事には至らず、朝が来る前にその居酒屋から引き上げた。それでまたうろうろと。
 小柄な女の子に声を掛けられ、「タクシー代ないくて困ってるから、1万でどう?」と誘われた。一応、年齢を尋ねてみたら「ニジュウハチ」と応えたけれど、きっと嘘。で、結局は断った。1万円を持っていなかったこともあったし、それで残念だとも思わなかったし。

 その女の子にとっては、どんなことをしても手に入れたい1万円だったのだろうか。そんなことを考えながら駅の近くまで歩いた。それで、それほど大切な1万円ではないだろう、と思い込むことにした。あの土手の階段に隠れていた猫の方がよっぽど切迫した眼付だったから。と言ってみても、今となればその女の子がどんな眼付だったかなんて、まったく覚えていない。


http://www.facebook.com/edes.arai

Posted by sousuke at 23:32│Comments(0)
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。